絹本著色十一面観音像(けんぽんちゃくしょくじゅういちめんかんのんぞう)1幅
指定番号
第21号
指定年月日
昭和59年3月15日
所在地
大生郷町1234番地
十一面観音は、正しくは十一面観世音菩薩と称し、本面の上に十ないし十一の面を持つ像容を表わし、聖・千手・不空羂索(ふくうけんじゃく)・馬頭・如意輪・准胝(じゅんてい)とともに七観音の一つとされる。奈良時代中頃からつくられるようになり、十一面の配置は正面3面が慈悲、左側3面が忿怒、右側3面が牙をむき、後背1面が大笑、頂上が仏果(仏の悟り)を示す阿弥陀仏面という。
この画幅は、中央に正面向きに立つ十一面観音像を描いたものであり、図上に十一の仏面と化仏をつけ、左手に宝瓶(ほうびょう)を執り、右手は垂下して掌を前に全指を伸ばす。画面下半は菱文繋(ひしもんつな)ぎで石畳風に表わしている。彩色は中間色を多用しながらも華やかで、保存もよい。全体的に静謐(せいひつ)な表現の佳作であり、南北朝時代末期の作と思われる。縦108センチメートル、横42センチメートル。