大塚戸の綱火(おおつかどのつなび)
指定番号
無民第33号
指定年月日
平成11年11月25日
所在地
大塚戸町875番地
保持団体
大塚戸芸能保存会
期日
毎年9月
綱火は、あやつり人形と仕掛花火とを結合させた民俗芸能であり、空中に張りめぐらせた綱により花火のついた人形(で木く偶)を操作し、芝居を演じるもので、大塚戸町では、町内の一言主(ひとことぬし)神社の例大祭当日に毎年奉納され、公開されている。糸繰花火・糸繰りとも言われ、大塚戸においては一言主神社が大和国葛城山から遷宮されたことにちなみ、「葛城流からくり綱火」と称してきた。江戸時代から伝承されているが、由来を示す確たる資料は見出されていない。一説には、万治2(1659)年、大塚戸村向山坪に三峰神社が開基されるにあたり、村民が花火を奉納したのが始まりとされ、神霊を鎮めるための民間信仰に根ざした行事であったと思われる。
綱火は三番叟(さんばそう)・仕掛け万燈・当日の芸題の3部で構成され、上演に先立っては「東西、東西、さて東西・・・」で始まる口上が述べられる。毎年の出しものは文久4(1864)年の『御祭礼目録のづ』から選ばれ、一言主神社に保管される『糸繰年代記』には文化元(1804)年から明治35(1902)年までの上演記録が遺されている。
大塚戸の綱火は、一言主神社の奉納行事として永く伝承されてきたが、昭和22(1947)年の開催を最後に一時中断した。その後、昭和44(1969)年に大塚戸芸能保存会が結成され、その手によって一言主神社秋季例大祭(9月13日)の奉納行事として伝承されている。