はじめに〜空き家の近隣の方へ〜
空き家を適切に管理する責任は、空き家の所有者等(所有者又は管理者)にあります。近隣同士の問題は、たとえそれが空き家であったとしても、民々の問題ですので、原則として当事者の間で解決していただくこととなります。
所有者等の連絡先をご存知であれば、直接当事者同士で話し合いをしてください。連絡先は一度自治会や近所で交流のあった方などが把握している場合も少なくありません。ぜひ一度、ご近所で聞き取りしてみてはいかがでしょうか?
なお空き家の所有者が不明の場合は、法務局(常総市の管轄は下妻支局)で登記事項を閲覧すれば所有者が分かります。複雑な場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。
市では、無料の法律相談(市民課管轄)を実施しております。また協定に基づき弁護士や司法書士を紹介(都市計画課管轄)することができます。ご活用ください。
Q1 隣の空き家の竹木が越境して困っています。なんとかなりませんか?
隣地から越境した竹木、雑草、ツタの繁茂などについては、基本的には民々の問題(相隣問題)ですので、行政が指導したり介入したりすることはできません。原則として当事者間で話し合って解決していただくこととなります。
ただし、次に当てはまる場合には、土地の所有者が隣地から境界線を越える枝を切り取ることができます。(民法第233条第3項)
切除に要した費用は、竹木の所有者に請求することができます。(民法709条)
Q2 空き家に蜂やカラスの巣があり、野良動物も住み着いています。どうにかなりませんか?
空き家の所有者等が、巣を駆除したり、動物が住み着かないようにしたりなどの対策を講じる必要があります。
Q3 空き家の所有者を調べたいのですが、どうやって調べられますか?
法務局の登記事項証明書の交付を受けたり、登記簿等を閲覧したりすることで、土地や建物の所有権を有する者の氏名や住所を確認することができます。ただし最新の情報でない可能性もあります。詳しくは弁護士や司法書士など法律の専門家にご相談いただくことをおすすめします。
Q4 所有者が亡くなっていて相続人がいない場合はどうすればいいですか?
弁護士や司法書士に相談をしてみてください。その空き家について利害関係があることが認められれば、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任の申し立てができます。
また、所有者が行方不明の場合には、同様に「不在者財産管理人」の選任の申し立てができます。
Q5 隣の空き家の崩壊や落下物により自宅等が被害に遭いました。どこに相談すればよいですか?
すみやかに弁護士にご相談することをおすすめします。空き家の所有者等に対して、自宅等が現に侵害を受けている場合には「妨害排除請求」、侵害を受ける可能性がある場合には「妨害予防請求」を行うことができます。
Q6 空き家を放置すると所有者等にはどのような責任がありますか?
建物が倒れたり、瓦等が落下したりするなど、近隣の家屋や通行人等に被害が及んだ場合、その建物の所有者等は損害賠償などの管理責任が問われます。(民法第717条)
管理不全状態が将来的な負担増につながりますので、放置せずに適正な管理を心がけるとともに、利活用を検討しましょう。
Q7 税務署や金融機関等の差押えを受けた空き家は、誰に管理責任がありますか?
管理責任は所有者等にあります。差押えを受けると、一般に売買ができなくなりますが、所有権や管理責任が差し押さえた者に移るわけではありません。
Q8 空き家に不法侵入者がいるようで不安です。どうしたらよいですか?
空き家に不法侵入者がいる間に警察へ通報してください。いなくなってからでは捜査が難しくなるそうです。ただし、不法侵入者ではなく、所有者等が管理に訪れている場合もありますので、ご注意ください。
Q9 老朽化した空き家は市がなんとかしてくれるのですか?
空き家の管理責任は、所有者等にあります。市は空き家が適正に管理されていない場合、所有者等に適切な管理を行うよう促していきます。
なお「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、そのまま放置すれば倒壊するおそれがあるなど、一定の基準に合致した管理不全の空き家を「特定空家等」に認定する場合があります。空き家の除却など周辺の生活環境の保全を図ることが必要と認められる場合には、市が所有者等に対して、法に基づく「助言」や「指導」、「勧告」、「命令」等を行うことができます。
Q10 住宅を解体すると固定資産税はどれくらい高くなるのですか?
住宅が建っている土地の課税標準額は、住宅用地特例により200平方メートルまでは評価額の6分の1に、200平方メートルを超える部分については3分の1に軽減する措置がとられております。
住宅を取り壊した場合はこの特例措置がなくなりますが、非住宅用地の課税標準額は、負担調整措置により評価額の約70%となります。
また住宅を取り壊すことにより建物の固定資産税はなくなります。土地の評価額が低い場合などは、建物を解体することにより税額が低くなる場合もあります。
結びに
市では、所有者等に対して「適正な管理のお願い」を行っておりますが、このお願いには強制力が伴いません。空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく措置は、空き家を放置することが著しく公益に反する場合(倒壊により公道の通行人に著しい危険が及ぶなど)に限り行うものです。
隣地の空き家トラブル対応は、民法に基づく民事的手法が解決への一番の近道ですので、是非とも弁護士や司法書士などの専門家へのご相談を検討しましょう!