学校施設は、児童・生徒が1日の大半を過ごす活動の場であるとともに、震災などの非常災害時には、地域住民の応急避難場所としての役割を果たします。このため、その安全性の確保が極めて重要であることから、昭和56年6月以前の校舎などで非木造の2階建て以上または延べ床面積200平方メートル以上の建物について、耐震診断を実施し、その結果をもとに耐震化を図ってきました。また、一部の施設については、改築計画のもとに事業に必要な耐力度調査などを行い、建て替えをしてきました。
耐震性能 Is 値について
国土交通省では、耐震改修促進法(旧建設省告示平成7年12月25日第2089号)でIs値≧0.6についての安全性とは「地震の震動及び衝撃に対し倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」となっています。一方、文部科学省では学校施設の耐震性能として、Is 値≧0.7 の安全性を求められています。したがって学校施設の耐震性能条件は以下の通りとしています。なお、ここでいう地震の規模は大規模な地震(震度6強程度)をいいます。
- Is<0.3:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い。
- 0.3≦Is<0.7:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある。
- Is≧0.7:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い。
建築防災協会基準について
建築防災協会基準(2001年改訂版「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準同解説」)による建築物の耐震性能の判定においては、第二次診断でIs 値0.6以上であれば、現行の建築基準法と同等の耐震性能があるとされています。同基準によると、耐震診断結果の判定は第二次診断で0.6未満であれば、「構造体としての耐震性は『疑問あり』とされるが、これが直ちに構造体の崩壊・大破を意味するものではない。被害は、あるIs値を境にそれよりも低い建物全てに確定的に生じるのではなく、Is値が低くなるに従って被害の割合(すなわち被害を受ける可能性)が高くなり、被害程度の推定は現状では、これら<被害状況>のばらつきを考慮することが重要である」、「この理由としては、地盤や地振動が場所によって異なること、材料強度、強度・靭性(じんせい)の評価、施工などのばらつきが存在することが考えられる」とされています。