木造如意輪観音坐像(もくぞうにょいりんかんのんざぞう)1躯附
紙本墨書書状 2通
指定番号
彫刻第144号
指定年月日
平成7年1月23日
所在地
豊岡町乙2002番地
本像は、昭和62(1987)年に旧水海道市の指定文化財として指定を受けた。その後、平成5年の再調査により、像内に南北朝時代、応安5(1372)年の年紀、作者名・願主名を含む墨書銘が発見され、文化財としての意義が再認識された。平成6年に修理が行われ、翌年、県指定文化財となった。
本像はヒノキ材を使用し、根幹部を一材から彫成した像の干割れを防ぐために、材を縦に割り、内部を刳りぬいたうえで再び合わせて造る「割矧(わりは)ぎ造り」という技法で造られ、玉眼(ぎょくがん)が嵌入(かんにゅう)された像高40センチメートル余りの六臂(ろっぴ)の坐像である。頭部がやや大きめで体躯や六臂との均整がよくとれている。面相や胸などを柔らかい質感に表現し、衣部は厚手の布に太くうねるような襞を刻んでいて、南北朝時代の特徴が顕著である。像内胸腹部および背部の墨書銘により応安5年にきん阿弥陀仏、こん阿弥陀仏を願主として仏師加賀坊長慶が制作したことが判明した。また、玉眼押さえとして像内に封入されていた、仏師からと願主の結縁者から願主へ出した書状2通の発見は本像の文化財としての価値をさらに高めるものとなった。修理後、書状は本像と別に保存されることとなった。像高41.8センチメートル、光背高56.6センチメートル、台座高40.5センチメートル。