退職所得に対する住民税は、退職所得の発生した年に他の所得と区分して、その年の1月1日現在の住所地において課税されます。
個人住民税は原則として前年中の所得に対してその翌年に課税する方法(前年所得課税主義)をとっていますが、退職所得については他の所得と分離して所得の発生した年に課税する方法(現年分離課税主義)をとっています。
分離課税の対象となる退職手当等
退職手当又は一時恩給等名称が何であるかを問わず、退職によって雇主から一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与を退職手当等といいます。
分離課税の対象となる退職手当等は、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等のうち、所得税法第199条の規定により所得税の源泉徴収義務のある者の支払うものに限られます。
分離課税の対象とならない退職手当等
次の者が支払う退職手当等は、所得税の源泉徴収の対象とならないので、分離課税に係る住民税は課税されず、他の所得と同様翌年度において住民税が課税されます。
- 常時2人以下の家事使用人のみに給与等の支払いをする者
- 給与等の支払いをする者のうち、租税条約等により所得税の源泉徴収義務を有しない者
納税義務者
市区町村内に住所を有する者のうち、退職手当等の支払いを受ける者です。
※退職手当等の支払いを受ける者が、その支払いを受けるべき日の属する年の1月1日現在生活保護法に基づく生活扶助を受けている場合には課税されません。
※退職手当等の支払いを受けるべき日の属する年の1月1日現在国内に住所を有しない場合は、他の所得と同様翌年度において住民税が課税されます。
退職所得に係る住民税の計算方法
計算方法は下表のとおりです。
退職所得の金額(1,000円未満切捨て) | 市民税税率 | 県民税税率 | |
---|---|---|---|
特定役員退職手当等 | 収入金額-退職所得控除額 | 6% | 4% |
短期退職手当等 |
収入金額-退職所得控除額≦300万円の場合 (収入金額-退職所得控除額)×2分の1 |
6% | 4% |
収入金額-退職所得控除額>300万円の場合 150万円+{収入金額-(300万円+退職所得控除額)} |
|||
一般退職手当等 | (収入金額-退職所得控除額)×2分の1 | 6% | 4% |
※税率を乗じた後の額が特別徴収税額(100円未満切捨て)です。
※特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち法人税法上の役員、国会議員・地方議会議員、国家公務員・地方公務員としての役員等勤続年数が5年以下であるものが支払を受ける退職手当をいう。また、短期退職手当等とは、短期勤続年数に対応する退職手当として支払を受けるもので、特定役員に該当しないものの退職手当です。
退職所得控除額の計算方法
計算方法は下表のとおりです。
勤続年数(1年未満の端数切上げ) | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
※障害者となったことが原因で退職した場合は、上記の退職所得控除額に100万円を加算した金額が控除されることとなります。
マイナンバー制度における納入申告書の取り扱いについて
平成28年1月1日以降の退職所得に係る市民税・県民税納入申告書には、特別徴収義務者の法人番号又は個人番号の記載が必要となりました。
特別徴収義務者 | 法人番号又は個人番号の取り扱い |
---|---|
法人 | 納入書裏面の納入申告書に法人番号を記載してください。 |
個人事業主 |
|
詳しくは税務課市民税係までお問い合わせください。