してはいけない選挙運動・寄附行為

選挙運動は、有権者が誰を選ぶか判断するときの大切な材料となります。だからできるだけ自由で良いのですが、お金や強制的な力によって、選挙の公正さがゆがめられてはいけません。
従って、次のように選挙運動に関して一定の決まり事があります。

選挙運動について

買収、利益誘導は厳禁

投票依頼のため、人に金銭や物品を贈ったり、酒飲をもてなしたりすることは厳禁です。また、当選したら就職を世話するなど利益誘導することも禁止されています。

飲食物の提供禁止

選挙運動に関し、湯茶やこれに伴い通常用いられる程度の菓子は別として、飲食物を提供することは禁止されています。陣中見舞いとして酒等を贈ることも禁止です。

戸別訪問の禁止

選挙運動のために有権者の家などを訪問することは、禁止されています。

事前運動の禁止

選挙運動は決められた方法で告示日から投票日の前日までしかできません。よって告示前に選挙運動をすることは、禁止されています。

連呼行為の制限

「○○をよろしくお願いします」といった連呼行為は、午前8時から午後8時までの間、街頭演説の場所や決められた自動車の上でしかできません。この場合も、学校や病院ではできません。

選挙運動費用の制限

選挙運動のために使える費用については、選挙の種類や有権者の数によって最高限度額が決められています。

署名運動の禁止

特定の人に投票するようにする、又は特定の人に投票しないようにすることを目的として、有権者に対して署名を収集することはできません。

選挙終了後のあいさつ行為の禁止

当選又は落選に関して、あいさつする目的で戸別訪問したり、当選祝賀会、その他の集会を開催したり当選御礼のはがき(自分で書いた信書等は除く)を出すことはできません。

政治家の寄附は禁止されています

有権者が寄附を求めることも禁止されています。

政治家の寄附は禁止。有権者が求めることも禁止。
贈らない!求めない!受け取らない!
みんなで徹底しよう「三ない運動」

政治家の寄附の禁止

政治家の寄附の禁止は、親族以外に対して行われた場合に適用になります。ここでいう親族とは血族6親等、姻族3親等をいい、俗にいう親戚とは異なります。

結婚披露宴の祝儀・葬式の香典

  1. 結婚披露宴の祝儀は、結婚式当日、自ら出席して相手方に渡す場合に限られます。なお、祝儀は品物も含みます。
  2. 葬式の香典は、通夜と葬式の日に自ら出席して渡す場合に限られます。葬儀の日の後、政治家が弔問して香典を相手側に渡すことは禁止されています。
    お盆の香料も親族に限られます。
  3. 政治家が葬式の際、供花・花輪を相手方に対して出すことは禁止されています。
  4. 香典は、金銭に限られますので、線香を持っていくことは禁止されています。

会費と寄附

  1. 会費制のパーティーで会費を支払うことは差し支えありませんが、会費制でない場合で、実費程度の金銭を出すことは寄付行為に該当します。
  2. A株式会社社長の甲野太郎が政治家である場合、A株式会社が「A株式会社長 甲野太郎」と記載したのし紙をつけた中元を選挙区内にある者に贈ると、公職選挙法第199条の3の政治家の関係会社等の寄附禁止規定に該当し、会社でなく政治家が寄附していると相手側に思わせる場合、「政治家を寄附の名義人とする寄附」に該当し、罰則の対象となります。中元ののし紙がA株式会社だけであっても、会社でなく政治家が寄附していると相手方に思わせる場合、罰則の対象となる場合があります。
  3. 選挙の陣中見舞いとして酒を贈る行為は、公職選挙法第139条で禁じている「飲食物の提供」に該当します。
  4. 政治家は、祭りの寄附をすることはできません。また、有権者も祭りの寄附を求めることはできません。

あいさつ状の禁止

  1. 答礼のための自筆のあいさつ状以外は禁止されています。
    自筆とは認められないもの
    • 印刷した時候のあいさつ状に、住所と氏名だけを自署したもの。
    • ワープロによる時候のあいさつ状
    その他、禁止されるあいさつ状
    • 「喪中につき年賀のあいさつを失礼します」なる失礼のはがき
    • 年賀電報、電子郵便による送る年賀のあいさつ状
    • ファックスにより送る年賀のためのあいさつ状
    • クリスマスカード
  2. 弔電や各種大会についての祝電は禁止されていません。
    これには、職氏名を入れても差し支えありません。
  3. 政策周知の文書はあいさつ状の禁止にはあたりませんが、それがどちら(政治活動か否か)であるかという判断は、内容の度合いによります。

その他

  1. 火災見舞い、近火見舞いは禁止されています。
  2. 政治家が氏子である神社や檀家となっている寺(選挙区内にあるもの)の社殿や本堂修復のため、寄附をすることは禁止されています。

質疑応答・Q&A

【質問1】 日本赤十字社に対して社費を納めることはどうか?ただし、最低500円で上限はない。

【答え】 社員となるために最低必要な500円のみを納める場合は問題はないが、それ以上の額を納めことは寄附に該当するので違法となる。

【質問2】 赤い羽根共同募金に募金することはどうか?

【答え】 募金先の事務所等が自分の選挙区内にある場合は違法となる。

【質問3】 ある会で、会則あるいは規約等によって、会長5万円、一般会員1万円の会費負担を定めている場合に、公職の候補者等が会長に就任し会費5万円を支払うことはどうか?

【答え】 会長職がほかの一般会員に比べて、特に高い会費を支払わなければならない合理的理由がある場合は別として、1万円を超える場合は寄附に当たり違法となる。

【質問4】 公職の候補者等が通常、訪問客に対してお茶やお菓子等を提供することはどうか?

【答え】 差し支えない。

【質問5】 公職の候補者等が選挙の立候補者等に対して「祈必勝」などと記載した紙(模造紙等普通の紙に書いたもの)を贈ることはどうか?

【答え】 色紙等、それ自体財産上の価値が生じる場合は違法であるが、普通紙等に書いたような場合は特別財産的価値がないと思われるので差し支えない。

【質問6】 香典返し等社会慣習上定着した一種の義務的な性格を持ったものとなっている場合、もらった香典に対し返戻の程度(香典の半額程度)の香典返しをすることはどうか?

【答え】 差し支えない。
そのほかの結婚式の引き出物、出産祝いのお返し、快気祝、新築祝いのお返しなどは禁止。

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  • 【更新日】2015年1月30日
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