「やさしい日本語」とは
「やさしい日本語」とは、普段使われている言葉を外国人にもわかるように配慮した簡単な日本語のことです。「やさしい」には「易しい」(簡単・easy)と「優しい」(相手を思いやる・kind)という2つの意味があります。
外国人住民の中には、「やさしい日本語」なら理解できる、という方がいます。「やさしい日本語」は、日本人と外国人が地域で大切な情報を共有したり、互いに意思疎通を図ったりする助けになります。
また、誰にでもわかりやすいように配慮されているので、外国人だけでなく、子どもや高齢者とのコミュニケーションにも役立ちます。
「やさしい日本語」ができたきっかけ
1995年の阪神・淡路大震災では、日本にいた多くの外国人も被害を受けました。その中には、情報が提供された日本語も英語も十分に理解できず、必要な情報から取り残されることがありました。災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。
現在、「やさしい日本語」は災害時だけでなく、日常生活でのコミュニケーション手段として、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的にさまざまな分野で注目され、広がっています。
「やさしい日本語」を使うときのポイント
情報の取捨選択をする
伝えるべきメッセージを決め、情報の取捨選択をします。「読み手」の目線で情報を整理して伝えます。
読み手に情報が伝わりやすくなる場合は、イラスト、写真、図などを入れます。
簡単な言葉を使う
簡単な言葉を使い、漢字にはふりがなをつけましょう。
例)土足厳禁 ⇒ くつを ぬいでください。
例)無料 ⇒ お金(かね)は いりません。
文は短くする
一文の中に、言いたいことは1つだけにしましょう。
例)ごみの分別をきちんとして、可燃ごみは月曜日と木曜日に出してください。
⇒ ごみを 分(わ)ける 決(き)まりが あります。燃(も)えるごみは 月曜日(げつようび)と 木曜日(もくようび)に 出(だ)して ください。
文は文節で余白をあけて区切る(分かち書き)
例)ここに来た目的は何ですか? ⇒ どうして ここへ きましたか?
例)余震が起きるおそれもあるため、地震の揺れで壁に亀裂が入ったりしている建物には近づかないようにするなど、余震に対して十分に注意してください。
⇒ 余震(よしん)〈後(あと)から来(く)る地震(じしん)〉に 注意(ちゅうい)してください。地震(じしん)で こわれた建物(たてもの)に 注意(ちゅうい)して ください。
カタカナ語に気をつける
和製外来語はもとの言葉と意味や発音が異なるものが多いため、使う時は注意が必要です。
例)キャンセル ⇒ やめる
例)セルフサービス⇒ 自分(じぶん)で する
擬態語(「ふわふわ」「どんどん」など)は使わない
例)頭がズキズキする ⇒ 頭(あたま)が 痛(いた)い
箇条書き、番号を振る
3つ以上のことをいうときは、箇条書きにしましょう。
例)研修に参加ご希望の方は、窓口にお越しいただくか、ホームページでの申込み、またはメール・電話でお申込みください。
⇒研修(けんしゅう)に参加(さんか)したい方(かた)は 3つの申込(もうしこ)み方法(ほうほう)が あります。
・窓口(まどぐち)での 申込(もうしこ)み
・ホームページでの 申込(もうしこ)み
・メール・電話(でんわ)での 申込(もうしこ)み
あいまいな表現は使わない
例)8時頃に来ます。 ⇒ 午前(ごぜん) 8時(じ)00分(ふん)から 午前(ごぜん) 8時(じ)30分(ふん)までに 来(き)ます。
例)地震が来る可能性があります。⇒地震(じしん)が 来(く)るかも しれません。
※断定的な表現が問題になるときは「~かもしれません」という表現を使います。
二重否定は使わない
二重否定の表現は、外国人だけでなく、日本人にとっても混乱を招きやすい表現です。
例)在留カード以外は必要ありません ⇒ 在留(ざいりゅう)カードを 持(も)ってきて ください
文末表現は「~です。~ます。」調にする
例)気をつけましょう ⇒ 気(き)をつけて ください
例)学校へ行きます⇒学校(がっこう)へ 行(い)きます
例)使えます⇒使(つか)うことが できます
災害時によく使われることばなど、知っておいたほうが良いことばは そのまま使い、ことばの後に<>を使い言いかえる
例)「避難所」 ⇒ 避難所(ひなんじょ) <みんなが 逃(に)げる ところ>
例)「災害」 ⇒ 災害(さいがい) <地震(じしん)、大雨(おおあめ)、台風(たいふう)などで、困(こま)ったことが 起(お)きること>
漢字は簡単なものを使い、ふりがなをふる
例)この紙(かみ)に 名前(なまえ)と誕生日(たんじょうび)を 書(か)いて ください。
例)ゴミは 決(き)まった日(ひ)に 出(だ)して ください。
漢字を使用したほうがわかりやすい場合は、漢字を使う
例)犬を かう。 ⇒ 犬(いぬ)を 飼(か)う。
(注意)「買う」を「飼う」と誤解する可能性があります。
お役立ち外部リンク集
外国人生活支援ポータルサイト(出入国在留管理庁)
やさしい日本語関連情報が掲載されています。
やさにちチェッカー
やさしい日本語として作成した言葉・文書を「語彙・漢字・硬さ・長さ・文法」の観点から診断してくれます。
在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインほか(文化庁)
やさしい日本語のガイドライン等が掲載されています。
災害時多言語表示シート(一般財団法人自治体国際化協会)
災害時に避難所や外国人が集まる施設などでご活用いただけるツールです。
Voicetra(話かけると外国語に翻訳してくれる音声アプリ
「やさしい日本語」ではありませんが、外国人とのコミュニケーションに役立つツールです。