審査請求の概要
行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」といいます。)に基づき、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服の申立てをすることができる制度であり、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的としています。(法第1条第1項)
行政不服審査制度の詳細は政府広報オンラインをご参照ください。
審査請求の対象
「処分」又は「法令に基づく申請についての不作為」となります。制度や職員に対する苦情、損害賠償、行政庁の対応に対する意見等は、対象になりません。
審査請求ができる人
処分に対しては「不服がある者」が請求できます。(法第2条)
不作為に対しては、その「法令に基づく申請」を行った者です。(法第3条)
審査請求をすることができる期間
処分についての審査請求ができるのは、原則として処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内です。(法第18条第1項)
また、処分のあった日の翌日から起算して1年を経過したときは、原則として審査請求をすることができないとされています。(法第18条第2項)
不作為についての審査請求は、当該不作為が継続している間は、いつでも審査請求をすることができます。
審査請求書の様式・記載事項
審査請求を行うにあたり所定の様式はありません。処分及び不作為についての審査請求書には、次のとおり記載事項が定められています。
処分についての審査請求の記載事項(法第19条第2項)
1 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
2 審査請求に係る処分の内容
3 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
4 審査請求の趣旨及び理由
5 処分庁の教示の有無及びその内容
6 審査請求の年月日
一定の要件に該当する場合に記載が必要な事項
1 審査請求人が法人その他の社団若しくは財団である場合、総代を互選した場合又は代理人によって審査請求をする場合は、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所又は居所
2 審査請求期間の経過後において審査請求をする場合は、その正当な理由
不作為についての診査請求の記載事項(法第19条第3項)
1 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
2 不作為に係る処分についての申請内容及び年月日
3 審査請求の年月日
一定の要件に該当する場合に記載が必要な事項
審査請求人が法人その他の社団若しくは財団である場合、総代を互選した場合又は代理人によって審査請求をする場合は、その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏名及び住所又は居所
提出部数
審査請求書は、審査請求すべき行政庁(審査庁)が処分庁又は不作為庁でない場合には、正副2通提出する必要があります。
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審理員制度
審理員制度とは、審査請求について、審査請求人と処分庁等の主張を公正に審理するため、処分に関与していない審理員が審理を行う制度をいいます。
審理員は、審査庁からの指揮を受けることなく審理を行います。審理が公正かつ適正に行われることを確保する観点から、処分に関する手続に関与した者や審査請求人と利害関係にある者などを、審理員として指名することはできません。(法第9条第1項及び第2項)
審理員は、処分庁等から弁明書や審査請求人から反論書等の提出を受け、また、必要な調査等を行い、審理の結果を審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)にまとめ、事件記録とともに審査庁に提出することとされています。
審査請求人ができること
処分庁の主張(弁明書)に対する反論書の提出
審査請求人は、弁明書の送付を受けたときは、これに対する反論書を提出することができます。なお、反論書の提出は義務ではなく、審査請求人の意思に委ねられています。反論書に対して処分庁から再弁明があったときは、再反論をすることができます。(法第30条)
口頭での意見陳述及び処分庁への質問
審査請求人は、審理員に対し、審査請求に係る事件に関する意見を口頭で述べること(口頭意見陳述)を申立てることができます。また、口頭意見陳述においては、審査請求人は、審査請求に係る事件に関し、処分庁に質問することができます。(法第31条)
証拠書類等の提出
審査請求人は、自らの主張を理由付ける証拠書類又は証拠物を提出することができます。(法第32条)
証拠調べの申立て
審査請求人は、審理員に対し、書類等の所持人に対し物件の提出要求をすること、参考人に陳述及び鑑定を求めること、必要な場所の検証をすること及び審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問をすることができます。 (法第33条、第34条、第35条及び第36条)
審理員に提出された書類等の閲覧等
審査請求人は、審理員による審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧又は当該書類等の写しの交付を求めることができます。(法第38条)
この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができません。
なお、審査請求人は、写しの交付に要する費用を負担しなければなりません。